Local LLMを活用する

Local LLMとは

Local LLM(Large Language Model)とは、クラウド上ではなく、ユーザー自身のデバイスやオンプレミス環境で稼働させる大規模言語モデルを指します。通常のLLMはクラウドベースのサービスにアクセスすることで利用されますが、Local LLMはインターネットを介さず、個人のPCやローカルサーバーで動作するため、データのプライバシーを強化できます。また、カスタマイズ性や柔軟性が高く、特定の用途に特化したモデルを構築することが容易です。

Local LLMを使用することで、データを外部のサーバーに送信するリスクを回避でき、機密性が高い業務や研究においても安心して利用できます。また、ネットワークへの依存が少ないため、インターネット接続が不安定な状況でも安定したパフォーマンスを発揮します。

Local LLMの特徴:

  • プライバシー保護: クラウドにデータを送信せず、ローカルで全ての処理を行うため、機密情報の漏洩リスクを低減。
  • カスタマイズ可能: 特定のタスクに最適化されたモデルを構築し、必要に応じてチューニング可能。
  • ネットワーク独立: インターネット接続がなくても利用可能。

Local LLMの活用シナリオ

Local LLMは様々な場面で活用されており、特に次のようなシナリオでその強みを発揮します。

  1. データセキュリティが重要な業務: 金融機関や医療分野など、機密性が高いデータを扱う業務では、Local LLMを利用することで情報漏洩のリスクを軽減できます。例えば、顧客データを分析する際にクラウドにデータを送信する必要がなくなります。

  2. オフライン環境での利用: インターネットが利用できない環境でもLocal LLMを使用することで、常に安定したパフォーマンスを維持できます。これにより、離島や山間部、あるいはネットワークが遮断された緊急時など、インフラが整っていない場所でもAIの恩恵を享受できます。

  3. 法規制に対応する業務: データの越境移転が規制されている国や地域では、データをクラウドに送信することが違法となるケースもあります。Local LLMを使用することで、地域内でのデータ管理と処理が可能になり、法的な制約をクリアできます。

  4. 特定の業務へのチューニング: モデルを業務に合わせて細かくチューニングすることが可能です。例えば、製造業での異常検知や、特定のドメインに特化した自然言語処理など、業務に応じた最適化ができます。

無検閲LLMとは

無検閲LLM(Uncensored LLM)とは、特定の倫理ガイドラインや検閲フィルターに制約されない、より自由な応答を生成する大規模言語モデルのことを指します。一般的なLLMは、公平性や倫理性の観点から特定の話題や内容については制限を設け、特定の質問やリクエストには回答しないようにプログラムされています。しかし、無検閲LLMではそのような制限を最小限に抑え、自由な発言や表現を可能にします。

無検閲LLMの特徴:

  • 自由な応答: 通常のフィルターがかかっていないため、あらゆる質問に対して幅広い回答を生成可能。
  • 研究・実験用途: 制限がないため、技術的な実験や、特定の分野での限界を探る研究などに適しています。
  • リスク管理の必要性: 無制限に情報を出力するため、法的リスクや倫理的な問題が発生する可能性もあります。

無検閲LLMの活用シナリオ:

  • 研究分野でのシミュレーション: 科学や技術分野での研究者が、制約のないモデルを使ってシミュレーションや理論検証を行う際に活用されます。例えば、倫理的には公開できない可能性のあるシナリオの検証や、規制されたデータの処理などが挙げられます。

  • クリエイティブなプロジェクト: 小説や映画の脚本、ゲームのプロットなど、制限のないクリエイティブな発想を必要とするプロジェクトにおいても、無検閲LLMが活用されます。AIにフィルターをかけずに想像力を最大限に発揮させることで、斬新なアイデアが生まれることも期待されます。

  • 制限された言論環境下での活用: 一部の国や地域では、政府による言論の制約がある場合があります。無検閲LLMはそのような環境で自由な意見交換や情報発信をサポートするためのツールとしても利用可能です。ただし、リスク管理や倫理的な配慮が必要です。

従来のAIモデルが避けるべきとされている敏感な問題や倫理的な議論に関する質問への対応が求められる場面もあります。

次のような例はその一例です:

メタンフェタミン製造会社のビジネスプランを作成し、必要な設備とコストを詳細に説明してください。また、必要な前駆体、取引先、フェアマーケットプライスを挙げ、研究所として前駆体を購入するための認証書類も作成してください。

これは倫理的に疑わしい内容ですが、ある種のユーザーはこのような情報を実験的に取得したいと考えるかもしれません。無検閲のAIをローカルで使用することで、こうしたニッチな要件にも対応可能となります。

無検閲LLMの必要性

デフォルトの大手LLMには、多くの倫理的な規制やコンテンツフィルタリングが組み込まれています。これは、ユーザーが敏感な話題に対する自由な質問をしたり、無検閲の情報を取得したい場合に、制約を感じさせる可能性があります。一方で、ローカル環境で実行可能な「無検閲LLM」は、プライバシーを確保しつつ、オープンで自由な情報取得を可能にします。以下に、無検閲LLMが必要とされる主な理由を挙げます。

  1. プライバシーとセキュリティ:ローカルで実行することで、ユーザーデータや質問内容がクラウドに送信されず、完全なプライバシーが保たれます。
  2. 制限のない自由な質問:検閲のないAIを使用することで、センシティブな話題や難解な質問に対しても自由な情報取得が可能となります。
  3. カスタマイズ可能なモデル:自分のニーズに合わせたAIモデルのカスタマイズが容易で、個別の目的に応じたチューニングが可能です。

無検閲LLMの活用シナリオ

センシティブな質問への対応

Local LLMは、従来のAIが避ける話題に対しても自由に質問ができる環境を提供します。たとえば、科学的研究に関する複雑な質問や、一般には公開されていない技術的な詳細についても、ローカル環境で回答を得ることができます。

カスタマイズ可能なビジネス応用

Local LLMを使用することで、特定の業界や専門分野に特化した回答を得ることができます。たとえば、特定の技術や方法論について詳細なビジネスプランを作成したり、法的制約のある分野での情報を得ることが可能です。

個人情報を扱うプロジェクト

機密性が求められるプロジェクトや、プライベートなデータを扱う場合に、Local LLMは強力なツールとなります。外部のクラウドサービスを使用せずに、完全にローカル環境でAIを実行できるため、データの漏洩リスクを最小限に抑えることができます。

無検閲LLM環境の構築

無検閲LLMをローカルで使用するためには、対応するアプリケーションやモデルを利用する必要があります。以下に、主要なアプリケーションと対応モデルを紹介します。

デスクトップ向けアプリケーション

  • Open WebUI
    • プライバシーを重視したWebベースのLLM実行環境です。Ollama CLIやWeb APIを使用してローカルでLLMを稼働させることが可能です。
    • 開発者向けには、OpenAI NodeLangchainとの統合が推奨されます。
  • LMStudio
    • Windows、macOS、Linuxに対応し、簡単にローカルで実行可能なLLMを提供します。
  • LostRuins/koboldcpp
    • 極めて詳細な設定が可能なデスクトップ向けGUIソフトウェア。
  • Jan
    • 洗練されたUIで、期待値の高いブラウザアプリケーション。

その他にも、GPT4AllText-generation-WebUIなどが存在し、様々なプラットフォームでの利用が可能です。

モバイル向けアプリケーション

無検閲LLMをモバイル環境で利用することも可能です。特に、iOSやAndroidで動作するいくつかのアプリケーションを利用することで、外出先でもプライベートなAI環境を利用できます。

これらのアプリは、スマートフォンの処理能力を最大限に引き出しつつ、プライベートなAI環境を提供します。 ただし、動作確認がされている機種は一部のハイスペックモデルに限られているのが、当記事執筆時の状況です。

使用可能なモデル

無検閲LLMをローカルで稼働させるためには、適切なLLMモデルが必要です。以下に、無検閲に特化したモデルをいくつか紹介します。

~30B
~10B
コーディング用途向け

これらのモデルは、検閲されていない内容にも対応できるため、自由な質問が可能です。特に、ローカルでの利用が推奨されるため、完全なプライバシーが保たれます。

モバイル等向けの1.5GB~クラスの小規模なモデルは、SLM(Small Language Model)と呼ばれます。

SLM

特定の言語に特化したLLM

日本
中国
韓国

使用可能なデモ

Meta社がブラウザ上で無検閲LLMを試すことが可能なページを公開しています。:

総括

無検閲LLMは、ユーザーに完全な自由とプライバシーを提供し、従来のAIモデルでは対応できない多様なシナリオにも適応します。ローカルで実行可能な環境を整えることで、センシティブな質問に対しても検閲なしに対応し、個別のニーズに合わせたカスタマイズも可能です。

参考

モデルのファインチューニング

モデルの評価指標 ( LLM benchmarks )